書籍紹介

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■ リクルート組織行動研究所「RMS Message」Vol.44 特集:「越境」の効能

 

リクルート組織行動研究所が発刊している雑誌「RMS Message」にて,研究テーマである「越境」が特集されました。青山征彦先生との共編著「越境する対話と学び」(新曜社)を取り上げてくださいました。また,インタビュー取材も掲載されております。取材にきてくださいました,同研究所の藤澤理恵さんはじめ,皆様に御礼申し上げます。

リクルートさんの下記のWEBサイトでDLできますので,よろしければ,ご覧ください。
https://www.recruit-ms.co.jp/research/journal/
https://www.recruit-ms.co.jp/research/journal/pdf/j201611/m44_all.pdf

【新刊】 インプロをすべての教室へー学びを革新する即興ゲームガイド(新曜社)


キャリーロブマン・マシュー・ルンドクゥイスト(著)

ジャパンオールスター(訳)

※訳者のジャパンオールスターは,香川が副代表として参加している非営利の任意団体です(2014年設立)。パフォーマンス心理学に基づいた,子どもや若者の発達支援プログラム開発と,発達支援実践組織・団体へのハブ機能とシンクタンク機能を果たすことをミッションとしています。ニューヨークで活動するALLSTARSの姉妹団体で,筆者のキャリーロブマンらはこのNYのALLSTARSをけん引するメンバーです。

【新刊】 学校インターンシップの科学ー大学の学びと現場の実践をつなぐ教育(ナカニシヤ出版)


田島充士・中村直人・溝上慎一・森下覚(編)

香川秀太 7章 「創造的評価」の重要性―非公式な学生コミュニティがインターンシップを変える(p.143-170)

◎概要:①大学と実社会とのつながり方はどのようにまとめられるだろうか? これを,「D-I-V-E-Lo-P(ディベロップ)モデル」として表現した。
②持続的に変化発展してく学校インターンシップを目指して,学生たちが授業外の時間に構築した学習コミュニティの事例を記述し,そのポイントを整理した。
③評価基準を固定化し,実践の良しあしを診断していくタイプの従来の評価方法に対して,実践の最中に現れる固有の変化の芽(可能性)を見つけ,それを拡張させながら,創造的に実践を変容させていくことを,「創造的評価」と呼び,これについて論じた。

■「授業づくりネットワークNo.20―出前授業完全マニュアル」(学事出版)

ネットワーク編集委員会(編)

香川秀太 「違い」に出会い「異質さ」を喜ぶ―「越境する対話と学び」としての出前授業(p.50-53)

◎読者層:学校の先生,出前授業を行う外部講師

◎概要:外部の専門家と学校教育という異ジャンルの出会い,つまり,「違い」に出会う機会が出前授業といえます。どのようにその違いに向き合い,創造的な学習環境のデザインへと転換していけばよいでしょうか。越境的対話の観点から議論をいたしました。

ポートフォリオをつくろう!―新しい自己PRのための「編集デザイン」(フィルムアート社)


フィルムアート社+青山学院大学大学院社会情報学研究科ヒューマンイノベーションコース(編)

◎概要:

履歴書だけでは見えてこないものがある!

多様性の時代に必要な新しい「自己アピール」のための道具、それが「ポートフォリオ」である。

★ダ・ヴィンチ11月号〈この本にひとめ惚れ〉にて秋山具義さんに紹介されました!
 「たしかに誰でもポートフォリオを作ればいいんだと改めて気づいた。この提案はとてもいいことじゃないだろうか。」

どう相手に伝えるか?どうやって相手に興味を持ってもらうか?どうすれば相手にわかってもらえるか? 「これからの伝え方」について考えよう!
21 世紀の新しいコミュニケーション・ツール「ポートフォリオ」を提案する一冊です。(フィルムアート社HPより

■「越境する対話と学び:異質な人・組織・コミュニティをつなぐ」 (新曜社)

香川秀太・青山征彦(編)

◎概要:異質な人々の交流が生む創造!
異なる集団やコミュニティの間には、ときに乗り越え難い境界があります。学者と実践家、新人とベテラン、現場と上層部、ユーザーとデザイナー、さらには派閥、領土や国境……。目的を達成するためには自分の集団に独自の文化を養い結束を高める必要がありますが、それは他集団とのギャップをますます強めてしまいかねません。どうしたら、「コミュニティ間の相互発達」が起こるような越境が可能なのでしょうか。本書は、異質なコミュニティをまたぐ越境の学びについて理論的に吟味し、企業、医療、アート、学習コミュニティ、社会運動等の様々なフィールドで試みられたユニークな実践事例を紹介します。本書は心理学、教育学、経営学、哲学、社会学、看護学、医学等多様な学問領域の越境的対話から生まれた、越境へといざなうメッセージです。
下記で,ためし読みができます
http://www.shin-yo-sha.co.jp/mokuroku/books/978-4-7885-1426-3.htm



◎目次
序 異質なコミュニティをまたぐ,つなぐ

第Ⅰ部 理論・導入編

第1章 越境と活動理論のことはじめ 青山征彦

第2章 「越境的な対話と学び」とは何か 香川秀太
─プロセス,実践方法,理論

第3章 経営組織における水平的学習への越境論アプローチ 長岡 健

第Ⅱ部 医療・看護に見る越境

第4章 医療と芸術が混淆する新しい創造的活動 山口(中上)悦子
─病院の集団や組織が変わる,変える,その仕組み

第5章 業務電子化が引き起こす疑似越境とその修復 原田悦子・日根恭子・南部美砂子・須藤智
─電子カルテ障害カンファレンスの縦断分析

第6章 看護教育と臨床実践をつなぐ知識創造コミュニティ 香川秀太・澁谷幸・鈴木ひとみ
─看護エデュケア研究会の取り組み

第Ⅲ部 企業にみる越境

第7章 越境を促進・調停する媒介者とツール 臼井東
─日立製作所の製品開発の事例

第8章 アルバイトから社員まで:全員参加のベストプラクティス創出
─A社における越境改革 内橋洋美

第9章 コミュニティメンバーと共に変容を続ける人材育成マネジメント研究会 堤 宇一

第Ⅳ部 アートとデザインに見る越境

第10章 デザインにおける越境をめぐって 
─ロボットをデザインしたのは誰か 小池星多・青山征彦

第11章 学校のミシン実習と学校外のヨット実習の分析
─越境する眼差し 會津律治・有元典文・尾出由佳

第12章 密猟されるオープンソースとしての「共通言語」 石田喜美
─「Tokyo Art Research Lab」における実践のデザイン

第13章 越境する現代音楽 諏訪晃一
─「1000人で音楽をする日。」の事例から

第Ⅴ部 ゆるやかなネットワークに見る越境

第14章 墨東大学の実践 岡部大介・加藤文俊・木村健世
─「学習の常識」に揺さぶりをかける

第15章 矛盾がダンスする反原発デモ(前篇) 香川秀太
─マルチチュードと野火的活動

第16章 矛盾がダンスする反原発デモ(後篇) 香川秀太
─アルチュセールの重層的決定論によせて

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  • ■安田裕子・滑田明暢・福田茉莉・サトウタツヤ(編)2015年「ワードマップ TEA 理論編 複線径路等至性アプローチの基礎を学ぶ 」新曜社

    香川秀太「「未完の未来」を創造する媒介物:異時間のゾーンと活動理論(その1)」(pp.139-146)
    香川秀太「分岐を「交差」として捉え直す:異時間のゾーンと活動理論(その2)」(pp.147-153)

    ◎読者層:主に研究者向けの内容

    ◎概要:発達(の時間)は,個人が劣から優へと変移していく発達段階の物語に象徴されるように,単一ないし単層的,普遍的なものとしてよりも,異質な複数の歴史的時間が重層的に交差し合うダイナミックな過程として捉えられないだろうか。すなわち,発達の可能性とは,異質な時間がつくるゾーン(揺らぎ)である。

     発達の多様性を可視化する質的研究方法である,複線経路・等至性アプローチ(TEAないしTEM)では,枝分かれのように分かれていく,人生の「分岐点」というのを強調する。これに対して,本論では,この異質時間論に基づき,分岐よりも,むしろ「交差」が,より原理的ではないかという議論を行った。
     その他,しばしば耳にする「回顧型インタビュー VS 前向型(観察)」の二元論に対する提言や,分析結果を,「異時間が出会う遊び」として応用する形で社会に還元することを提案した。

    ※気づくのが遅くなりましたが,森直久先生が本書「3-1発達的時間」にて,異質時間論に触れてくださいました。森先生は前書のTEM本「TEMで始める心理学-時間とプロセスを扱う質的研究を目指して」の出版前の研究会等でも,侃々諤々と議論におつきあいくださいました。尊敬の念とともに,生意気な後輩の議論に真正面からおつきあいくださり感謝しております。

  • ■フィルムアート社×青山学院大学大学院ヒューマンイノベーションコース(編)2014年『これからのメディアをつくる編集デザイン』フィルムアート社

    香川秀太「「複雑さ」を肯定するメディアを」(pp.74-77)
    香川秀太「創造的な対話をデザインする」(pp.92-97)

    ◎読者層::主に一般読者向け

    ◎概要:複雑・曖昧・流動的,単純化主義の罠,多様性のあるネットワーク社会の問いかけ,ねじれや矛盾こそ創造のエネルギー,パターンを読んでパターンを崩す,矛盾をアイデアに変える…

    これらのキーワードに引っかかった方はよろしければご一読下さい。本書は,リズムよく多様な内容を読んでいただけるよう,数ページのショートレポート形式で,まとめられています。
    ※本書はおかげさまで,amazonの情報社会,メディアと社会,ジャーナリズムの3部門でベストセラーになりました。

  • ■日本ビジネス心理学会(編)2013年『ビジネス心理検定試験公式テキスト1基礎心理編』中央経済社

    香川秀太「状況的学習から見た心理の働き:組織分析と改革の学習論」(pp.29-56)

    ◎読者層:主に一般読者向け

    ◎概要:組織やコミュニティの学びを捉える理論枠組みである,状況的学習論,活動理論,越境論について,解説しました。学習転移概念の限界とそれに代わる方法についても,触れています。

  • ■茂呂雄二・櫻井茂男(編)2013年『新教職教育講座第7巻 発達と学習』協同出版

    香川秀太「コミュニティを横断する学習」(pp.145-164)

    ◎読者層:主に学生用,教育者用,研究者用。

    ◎概要:学校から社会へ。組織から別の組織へ。異集団が文化的境界を越えて結びつく。複数の文脈を渡り歩き横断する,異質なコミュニティがつながりあう。
     こういった現象を,文脈横断ないし,越境的な学びと呼びます。文脈横断論ないし越境論に関する諸研究をレビューし,テキスト用にまとめました。

  • ■茂呂雄二・有元典文・青山征彦・伊藤崇・香川秀太・岡部大介(編)2012年『ワードマップ 状況と活動の心理学:コンセプト・方法・実践』新曜社

    香川秀太「グラウンデッド・セオリー:象徴的相互作用論と活動理論との対話」(pp.222-227)

    ◎読者層:主に学生用,研究者用

    ◎概要:グラウンデッドセオリーアプローチ(GTA)は,しばしば,質的データを概念化し,まとめる方法論として捉えられがちです。
     確かにそうですが,単なる技法やテクニックとしてのみ捉えてしまうと,根っこにある理論や考え方,世界観を理解しなければ,根のない花や葉に終わってしまうでしょう。
     質的研究は,手作業で進める分,どういう考え方や思想に自分がよってたつのか,自覚しながら進めることが非常に大事になります。
     なぜなら,理論嫌いな人でさえ,無自覚なまま,実は,特定の思想に依拠してしまっているからです。例えば,心は個人の内面にあるもの,という考え。これは単なる事実ではなく,「一つの世界の捉え方」にすぎません。
     本章では,GTAがよってたつ重要な思想である,象徴的相互作用論,社会構成主義,活動理論について,議論した上で,GTAを解説しました。

  • ■茂呂雄二・田島充士・城間祥子(編)2011年『社会と文化の心理学:ヴィゴツキーに学ぶ』世界思想社

    香川秀太「「越境の時空間」としての学校教育:教室の外の社会にひらかれた学びへ」(pp.106-128)

    ◎読者層:主に学生用,教育者用,研究者用

    ◎概要:教室に閉じた学びを「クローズドラーニング」,教室の外にひらかれ実社会とつながりのある学びを「オープンラーニング」として,ヴィゴツキーの最近接発達領域の考えをもとに,実践的な解説を行いました。
     日常生活や学外の実践と科学的な知識とが活発に交流する学び,自ら問いを作る学び,既存の教育担当者の文脈では現れなかった意外な生徒の行為の発掘など,ポイントをまとめました。

  • ■A. Sannio, H. Daniels, & K. Gutierez (Eds.) 2009『Learning and Expanding with Activity Theory』, Cambridge University Press,

    Kagawa, S. & Moro, Y.「Spinozic re-considerations on the concept of activity: Politico-affective process and discursive practice in the transitive learning」

    ◎読者層:主に研究者向け

    ◎概要:スピノザの議論と絡めながら,集合することの意味,越境するというリアリティの言説を通した構成の在り方を議論。我々は,コミュニティを実在するかのように語ったり,複数のコミュニティの間の越境を事実のように語りますが,それ自体が,言説を用いた特殊な実践だという議論を行いました。
     「あるコミュニティと別のコミュニティを区分してその間の関係を語る」という言説実践を,「距離化(distantiation)」と概念化し,論じました。

  • ■サトウタツヤ(編)2009年『TEMで始める心理学-時間とプロセスを扱う質的研究を目指して』誠信書房

    香川秀太「異種の時間が交差する発達:発達時間論の新展開へ向けて」(pp.157-175)

    ◎読者層:主に研究者向け

    ◎概要:発達とは,異質な時間が交わっていく過程である。従来の発達研究で用いられてきた時間概念を,(できるだけ)根っこから考えてみる,ひとつのきっかけになればと思って書きました。
     今も異質時間論は,なんとか継続して議論を試みてはいますが,そのもとになっており,詳しくまとめた節です。脇役すぎて,あまり読まれないポジションですが…苦笑。
     ただ,今まで書かせていただいたものの中でも,読んいただけるととてもうれしい原稿のひとつです。別の論文で書いていた内容を見て,最初にお声かけ下さったサトウ先生らには本当に感謝です!

  • ■香川秀太(企画)2008年『インターナショナルナーシングレビュー』特集「状況論がひらく看護:インタラクションの精緻な分析」

    香川秀太「状況論とは何か:実践の解明と変革のアプローチー」(pp.19-26)
    香川秀太「質的研究と量的研究の共通点と相容れない点」(pp.34-38)

    ◎読者層:主に心理学研究者用,看護学研究者用

    ◎概要:まだ院を出たばかり,数年前に,周囲の皆様のお力添えあって本当に生意気にも企画させていただいたものです。当時は,「状況論???活動理論???」という雰囲気でした。
     今は,少しずつ,広がってきていて,重要性も認知されつつあると思います。まだまだ一部ではありますが,これから,この理論の実践的,哲学的ポテンシャルの本領が発揮されてくる時代に入ってくるのではないかと感じています。理論はめんどうですし,やらなくても研究も実践もできてしまうので,どうしてもマイナーにはなってしまいますが,素朴に現象を眺めていたのでは得にくい,大事な視点も提供してくれます。
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